開発秘話
アイデアで勝負!!
日本ではじめてビニール製のデスクマットを売り出したのは、美和ゴム工業(現ミワックス)が株式会社化から2年後の1965年(昭和40年)4月だった。
透明のデスクマットが開発される以前の当時のデスクマットといえば緑色のゴム製で、いわば捺印マットの大きいバージョン。麻雀マットに並ぶ美和ゴム工業の主要製品でもあった。
それを、透明ビニール製にして開発するヒントをくれたのは、出入りのガラス屋さんである。このガラス屋さんが美和ゴムに買いに来るのは、デスクマットと同じように机上に敷くガラス板の下に挟む布だった。机上に直接ガラスを敷くと、机の表面が傷つきやすいし滑りやすい。そのため、机とガラスのあいだに麻雀マットで使われている布を挟めば具合がよい。デスクもきれいに見えるというわけだった。
ゴム製のデスクマットに比べて、机上に敷くガラス板は、透明であるのが特徴で下に敷いたものが見える利点がある。書類などを挟んでおくにも便利だ。ただ、ガラスは硬すぎるのと、重いうえに割れやすい欠点がある。持ち運びにも不便だ。そんな欠点のうちのいくつかをカバーするために、ガラスの下に敷く布を求めに来る。
それなら、ガラス製の欠点を、一挙に解消する方法はないものか?
これがヒントになった。
布を敷かなくても、卓上を傷つけることもなく、軽くて割れないものを作れないか。
ゴム製では不可能な、透明で下が透けて見える長所を生かすには、これしかない。
ゴムが煎餅なら、ビニールは飴だ。
2つの特徴を比べると、煎餅に例えられるゴムは弾性に富むが、表面から徐々に老化しやすい。飴に例えられるビニールは熱に弱いが、老化しにくく、老化は全体が同時に進む。
それぞれの長所を、できるだけ取り込んでビニール製のデスクマットは誕生した。
ガラスに比べて各段に軽く、手触りが柔らかい。丸めて簡単に持ち運べる便利さがある。そしてゴムでは出せない美しさに加えて透明度が抜群である。
ただ欠点もあった.......................

